導入直後にありがちな「思ってたのと違う」
電話代行サービスは、資料で見たり話を聞いたときは「これは便利そう!」と感じても、
実際に使い始めると「なんかイマイチ…」「思ってたのと違う…」というギャップを感じることがあります。
この章では、導入直後に多くの企業が感じがちな“初期のつまずき”とその原因を整理します。
「通知は来るけど、どう活用していいかわからない」
これは最も多い導入初期のつまずきです。
- 毎回メールで内容が来るが、誰が見ていいか決まっていない
- 結局、誰も対応せずに通知が放置される
- 緊急性の高いものも、見逃して後手になる
原因:
「通知のルールは整っていても、社内で“どう対応するか”のルールが決まっていない」ことが多いです。
「対応が冷たく感じる」「うちっぽくない」
- 丁寧なはずなのに、なんとなく“他人感”がある
- 固い敬語がうちの雰囲気と合わない
- 取引先から「印象がちょっと…」とフィードバックを受ける
原因:
スクリプトがテンプレートのままで、自社らしさを反映していない。
また、業者側に任せきりで“声の演出”が整っていないケースです。
「営業電話が全部通知されて、意味がない」
- 1日10件以上の営業電話がすべてメールで通知
- 社内では「通知=不要情報」扱いされて誰も見なくなる
- 大事な顧客からの連絡も埋もれて見逃す
原因:
営業電話フィルターの設定が不十分。または「通知不要」の設定がオプション扱いになっている業者もあります。営業電話自体をカウントしない電話代行がおすすめです。
「代行に任せたことで逆に混乱した」
- 今まで代表電話に出ていたスタッフが“何も来なくなって不安”
- 現場の声が拾えなくなった
- 誰が何を対応すればいいかわからなくなった
原因:
業務の受け渡しが急すぎて、社内に“受付を代行に移す”という共通認識が浸透していない場合です。
導入初期は“ギャップ”が生まれて当たり前
よくあるギャップ | 原因の本質 |
---|---|
通知が活かせない | 社内の受け取り体制がない/共有ルールが曖昧 |
応対の印象が自社らしくない | スクリプトがテンプレのまま/声のトーン調整不足 |
通知が多すぎて機能しない | 営業電話フィルターが設定されていない/通知の整理不足 |
社内が逆に混乱した | 業務移管が段階的でなく、周知がされていない |
電話代行の導入でうまくいく会社は、導入と同時に“社内体制”も見直していることが多いです。
通知が活かせない原因と共有ルールの見直し
電話代行サービスを導入した企業の多くが直面する問題が、「通知は届くけど、現場でうまく活用されていない」という状況です。
この章では、通知が社内で機能しない原因を整理し、情報が動き、対応が回るようになる運用ルールの整備方法を解説します。
通知が「ただのメール」になってしまう問題
- 毎日通知が届くが、誰が対応すべきかわからない
- 全員に転送されているため、誰かが見ているだろうと放置される
- 重要度の判断がつかず、後回しにされがち
この状態のままだと、通知は「情報提供」止まりで、実務に結びつきません。
原因①:通知の宛先・担当が曖昧
- 営業関連は営業チーム/採用関連は人事…など、通知ごとの“受け手”が設計されていないと、情報が宙に浮きます。
改善策:
- 通知内容ごとに「誰が」「いつまでに」「どう見るか」を明文化
- 例:Slackの営業チャンネルに通知 → 営業リーダーが朝と夕方にチェック
原因②:通知内容が“読みにくい・分かりづらい”
- 相手の名前や会社名が見出しにない
- 用件が抽象的で何をすればいいかわからない
- フォーマットが毎回バラバラで、読み手によって解釈が違う
改善策:
- スクリプト側で「通知テンプレート」を整備(項目順・見出しつき)
- 件名やタイトルに要点を含める(例:「【商談希望】株式会社〇〇より折返し依頼」)
原因③:通知が“見えづらい”場所に届いている
- 営業チームはSlackを使っているのに、通知は全員のメールへ
- 社内の情報共有はGoogle Chatだが、通知は業者の専用画面のみ
- 通知ツールが分かれていて見落としが起こる
改善策:
- 自社の主要なツール(Slack/Chatwork/LINE/Google Chat)に連携できる業者を選定
- 「見に行く」ではなく「届く」形にするのが理想
原因④:通知を見たあとの“行動指針”が不明確
- 通知を見ても、「誰が対応?」「何をすれば?」が不明
- 担当外の人が見てもスルーする文化ができてしまう
改善策:
- 通知に「対応者をアサインする」習慣をつくる
- 例:Slack通知に「@山田さん、対応お願いします」とメンションをつける
- 対応完了後に「対応済」などのリアクションやフラグで記録
通知を“実務に活かす”ための3ステップ
ステップ | 内容 |
---|---|
通知の「受け手」を定める | 用件ごとに誰が見るのか/見た人が判断するのかを明確化 |
通知の「見やすさ」を整える | フォーマットを統一し、必要な情報が即座に読めるようにする |
通知後の「動き方」を決める | 対応ルールや期限・連絡方法を共有しておく |
通知が機能しないのは“伝え方のミス”ではなく、“使い方の未設計”であることがほとんどです。
社内の受け取り体制と対応のフローを整えれば、通知は“動く情報”に変わります。
スクリプトミスによる印象ダウンのパターン
電話代行サービスでは、最初の「名乗り」や「対応の言い回し」ひとつで、顧客や取引先が感じる印象が大きく変わります。
せっかく代行を導入しても、スクリプトが適切でないと“かえって不信感を与える”結果にもなりかねません。
この章では、スクリプト(応対文言)の設計ミスがもたらす典型的な印象ダウンのパターンと、その修正ポイントを紹介します。
パターン①:名乗り方が“自社っぽくない”
事例:
「お電話ありがとうございます。株式会社〇〇の代行窓口です。」
→ 顧客:「あれ、代行が出た?本当にこの会社にかかってるのかな?」と違和感
問題点:
- “代行”というワードを名乗りに含めてしまう
- 名乗りがぎこちなく、社内受付のように聞こえない
改善策:
- 「株式会社〇〇でございます」など、自社の一員として自然に名乗る形を設定
- ブランドや業種に合わせてトーンや敬称を調整する
パターン②:言葉遣いが丁寧すぎて距離を感じる
事例:
「そちら様のお名前を頂戴してもよろしいでしょうか?」
→ 顧客:「もっと簡単に話せばいいのに…なんか固いな」
問題点:
- 過度にフォーマルすぎる敬語が、自社の雰囲気とずれる
- 親しみを持たれにくくなる
改善策:
- 自社のスタイル(例:美容サロンなら柔らかく、士業なら堅め)に合わせて敬語レベルを設定
- 過剰に丁寧でなくても、失礼なく自然な会話調に調整
パターン③:案内内容が実情とずれている
事例:
「その件につきましては、担当の者より改めてお電話差し上げます。」
→ 実際には担当がメールでの対応しかしておらず、折返しがないと不満につながる
問題点:
- 応対スクリプトが実際の業務フローと一致していない
- 案内通りに対応できず、信頼を損なう
改善策:
- 折返し対応の可否、対応手段(電話/メール)を明確にし、社内オペレーションとスクリプトを一致させる
- できないことは曖昧にせず、できる案内に切り替える
パターン④:トラブル時の対応が画一的すぎる
事例:
「担当が不在のため、後ほどご連絡差し上げます。」
→ クレームや緊急案件でも同じ対応 → 「適当に処理された」と感じる
問題点:
- トーン・判断・案内が“全部一律”で、状況に応じた配慮がない
- 顧客の温度感とズレる
改善策:
- クレーム・重要顧客・緊急時など、スクリプトを複数パターンに分けて設定
- ヒアリングの段階で緊急性を把握し、通知レベル(即通知/通常通知)を分ける設計にする
スクリプトは“会社の声”。細部が印象を決める
よくある問題 | 修正ポイント |
---|---|
名乗りがぎこちない | 会社の一員として自然に名乗る文言を設定する |
言葉が堅すぎて親しみがない | 業種・ブランドに合った敬語トーンを選ぶ |
案内内容が実情と食い違っている | スクリプトと社内フローを一致させる |
どんな対応も一律の文言になっている | 状況別のスクリプトパターンを用意しておく |
スクリプト=“顧客が最初に接する会社の声”。
少しの違和感が大きな印象差につながるからこそ、細部まで設計する価値があるのです。
社内の受け取り体制が機能していないケース
電話代行を導入しても、「通知をどう処理するか」が社内で機能していなければ、
“受電はしているのに、何も変わらない”状態に陥ってしまいます。
この章では、社内側の体制に問題があって電話代行の効果が出ていないケースを整理し、改善に向けた考え方を紹介します。
ケース①:通知を誰も確認しない・確認したまま放置
- メールが届いても「誰かが見るだろう」とスルー
- チャットに通知は来ているが、“反応する人”が決まっていない
- 折返しすべき連絡が放置されて、顧客から再連絡が入る
原因:
責任の所在が曖昧で、誰も“自分の仕事”として通知を受け取っていない状態。
改善策:
- 通知カテゴリ別に“担当者”を明確に分担
- 担当者不在時のバックアップ対応ルールも決めておく
- 例:「採用問合せは人事チーム/営業関係は営業リーダー」など
ケース②:対応後の報告・共有がされない
- 誰かが対応しているが、対応済みかどうかが分からない
- 社内の複数人が同じ顧客に連絡してしまう
- 逆に、誰も連絡しておらず対応漏れが発生する
原因:
対応状況が“可視化されていない”ことによる混乱。
改善策:
- 通知を受けた人が「対応済」「折返し完了」などのステータス更新を行う
- SlackやChatworkではリアクション・スタンプなどで簡易的な記録を残す
- 必要に応じてスプレッドシートやタスク管理ツールにログを集約
ケース③:電話代行の存在を一部の社員しか知らない
- 担当者だけが知っていて、現場のスタッフは仕組みを把握していない
- お客様から「電話で◯◯さんにこう言われた」と言われても対応できない
- 社内で「なんで代行が答えたの?」と混乱が生まれる
原因:
導入時に社内全体への周知・理解がされていない。
改善策:
- 代行で対応する内容・範囲・通知ルールを社内で共有する
- よくある質問やスクリプトの内容をチーム内で確認
- 「代行が出る理由とメリット」を簡潔にまとめて全員に周知
ケース④:代行からの通知が“見づらい”仕組みになっている
- 通知が個人アドレスに届いており、休みの日は見落とされる
- 業者の専用画面にログインしないと内容が確認できない
- 通知が分散していて、一元管理ができていない
原因:
社内の連携ツールや業務スタイルと“通知の仕組み”が合っていない。
改善策:
- Slack・LINE・Google Chatなど、業務で日常的に使うツールと連携
- 通知用のチャンネルやスレッドを専用で用意し、関係者が常に把握できるようにする
- 管理画面がある場合は、定期的に履歴確認と集計を行う体制も検討
受け取り体制=“通知を処理する動線”を整えること
問題のパターン | 解決のためのアプローチ |
---|---|
誰も通知を見ない | 担当者・対応フローを明確にし、責任を分担する |
対応状況がわからない | 対応完了の記録方法を整備し、情報を見える化する |
社内の理解がバラバラ | スクリプトや対応範囲を社内に共有し、情報の共通基盤をつくる |
通知が埋もれてしまう | ツール連携と運用ルールの調整で、“見える場所”に通知を出す |
電話代行がきちんと機能するかどうかは、受けた後の社内の流れが設計されているかどうかにかかっています。
「通知を受けたら、誰が、どう動くか」がチーム内で明確になっていれば、
代行サービスは“受けっぱなし”ではなく、“会社の入り口”として機能します。
「やめたい」と思う前に見直すべきポイント
電話代行を導入した企業の中には、「便利そうだったけど、使いにくい」「手間が増えただけだった」と感じて、短期間で解約を検討するケースもあります。
しかし、多くの“不満”や“使いづらさ”の背景には、少しの見直しや改善で解消できるポイントが隠れています。
この章では、「やめる前にぜひ見直してほしい項目」をテーマ別に整理します。
見直しポイント①:通知が多すぎる/意味がない
よくある声:
「1日に何件も通知が来るけど、ほとんど営業電話だった」
「通知ばかりで、本当に必要な情報が埋もれる」
見直し方:
- 営業電話や無言電話のフィルタリング設定を確認する
- 通知内容をカテゴリーごとに整理・要約してもらう設定に切り替える
- 「通知不要な電話」は受電だけして報告不要にするルールを作る
→ 通知の質を上げるだけで、ストレスが大幅に軽減されます。
見直しポイント②:応対が固すぎる・冷たく感じる
よくある声:
「うちの雰囲気と合わない対応で、かえって違和感があった」
「丁寧だけど、よそよそしい感じがして不満」
見直し方:
- スクリプトの言い回しを自社のトーンに合わせて再設計する
- 声のトーン・話し方のイメージを業者にフィードバックする
- 「堅すぎず、やわらかめ」「丁寧だけどフランクに」など希望を伝える
→ 対応品質=スクリプト設計の質。調整次第で大きく印象は変わります。
見直しポイント③:通知の受け取りが社内で機能していない
よくある声:
「通知は来るけど誰も対応しない」
「連絡の抜け漏れが発生してしまう」
見直し方:
- 通知ごとの“担当者”を決めて責任を明確化
- 対応完了の報告・記録の仕組みをつくる(例:Slackリアクションなど)
- 通知ツールと社内連絡ツールを統一し、連携を強化する
→ 通知の内容より、“その後どうするか”のルールを整えるのが鍵です。
見直しポイント④:スクリプトと実運用のズレ
よくある声:
「代行が“折返し連絡します”と言ったけど、実際はメール対応のみ」
「お客様に誤解を与えてしまい、クレームにつながった」
見直し方:
- 自社の実際の対応手段(電話?メール?LINE?)を改めて棚卸し
- スクリプトの案内内容を実態と一致させる(できることだけを案内)
- 定期的にフィードバックを行い、スクリプトをメンテナンスする
→ 「言ったこと」と「やること」が一致していれば、信頼感は失われません。
見直しポイント⑤:社内での位置づけが曖昧
よくある声:
「代行があるけど、社内では誰もその仕組みを把握していない」
「お客様との会話内容を知らず、現場が混乱した」
見直し方:
- 社内マニュアルやチームミーティングで電話代行の運用を周知
- 通知のフォーマットや対応例を共有して、誰でも見れば理解できるようにする
- 担当者が休みのときでも“見れば分かる”仕組みを整える
→ 「代行ありき」で回る体制を全社的に作ることが、最大活用の鍵です。
「やめたい理由」の多くは、“体制不足”が原因
不満点 | 見直すべきポイント |
---|---|
通知が多すぎて見る気にならない | フィルタリング・通知内容の絞り込み |
対応が固すぎる/違和感がある | スクリプトのトーン・表現を調整する |
社内で誰も通知を見ない | 担当者の明確化・共有ルールの整備 |
対応内容に齟齬がある | 案内文と実際の社内対応を一致させる |
社内で仕組みが理解されていない | 周知とマニュアル整備で運用を“可視化”する |
電話代行は“導入すればすべてが解決する魔法のツール”ではありません。
しかし、運用を見直すだけで“会社の顔”として機能する心強い味方になります。
よくある課題別・運用改善のヒント集
電話代行サービスは、「導入して終わり」ではなく、「どう運用するか」で価値が決まります。
この章では、導入企業から寄せられるよくある課題と、それに対する具体的な改善のヒントを一問一答形式でまとめました。
Q1. 通知を減らしたいけど、大事な情報は取りこぼしたくない
改善のヒント:
- 通知のカテゴリ分け(営業/顧客/既存/採用など)を設定
- 営業電話は受信だけで通知しない設定に
- 「重要な件だけ即通知、それ以外は1日1回まとめて」などの分割配信も有効
→ 情報の優先順位を整理することで、“見るべきものだけを見る”体制がつくれます。
Q2. 通知を見て誰が対応するのか毎回あいまい
改善のヒント:
- 通知の宛先に「対応担当者名」を明記(例:◯◯宛のお電話)
- 社内ルールで「カテゴリごとの対応担当表」を作成
- SlackやChatworkならメンション機能で明確に指名する
→ “誰がやるか”が自動的に決まる仕組みにしておくと、対応が止まりません。
Q3. クレームや緊急連絡への初動が遅れてしまう
改善のヒント:
- クレーム系やVIP対応用に「緊急フラグ付き通知」ルートを用意
- 通知手段をSMSやLINEに切り替えて、即着信+即確認を実現
- 「即時電話連絡」オプションを活用する業者もあり
→ “通常通知”と“即対応案件”を分けることで、判断と行動が加速します。
Q4. 対応内容の記録が残らず、履歴が追えない
改善のヒント:
- 対応履歴をスプレッドシートで集計(簡易CRM)
- Chatwork/Slackで専用チャンネルに「対応完了コメント」を残す運用
- 通知サービスにログインすれば履歴が確認できる業者もある
→ 対応の「見える化」で、トラブル時や社内引き継ぎもスムーズに。
Q5. 社内で電話代行の存在が浸透していない
改善のヒント:
- 社内マニュアルに「代行から通知が来たらどうするか」手順を明記
- 初期設定したスクリプトや運用フローを定例会議で周知
- 定期的に“電話代行を使って良かったこと”をチームで振り返る
→ 利用しているのは“会社全体”。チームで認識を揃えるだけで使い方が変わります。
課題は「使い方」に宿る。改善は「共有と調整」から
よくある課題 | 改善の方向性 |
---|---|
通知が多すぎる | フィルター/カテゴリ整理/通知頻度の調整 |
対応担当が決まらない | 担当分担表/メンション/通知テンプレの整備 |
クレーム対応が遅れる | 緊急通知ルート/即時対応設定/フラグ活用 |
履歴が残らずトラブル時に困る | ログの一元管理/対応記録のルール化 |
社内の理解不足で使いこなせていない | 周知・マニュアル化・チームでの定期見直し |
電話代行は、“任せる技術”と“受け取る文化”の両輪があってこそ活かせるサービスです。
そのために必要なのは、大がかりなシステムではなく、小さな運用改善と社内のすり合わせです。
終わりに:使いこなせば「会社の顔」になるツールへ
電話代行に“失敗あるある”が多いのは、使い方次第で成果が変わるからこそ。
しかし、そこで終わらせずに原因を見つけ、改善していくことができれば、
電話代行は単なる外注ではなく、「信頼される会社の入口」になり得ます。
- 通知は“動く情報”として流れるように
- スクリプトは“会社の声”として洗練されるように
- 社内のフローは“誰でも迷わず対応できる”ように
この3点を意識するだけで、電話代行は“導入するだけのツール”から、“育てる資産”に変わっていきます。